学びのあり方2〜Diploma of Aromatherapy
アロマセラピーの学びが、なぜキネシオロジーを教えるのに役立つのか?
これは、西洋における"Diploma"制度の理解が必要となると思います。
日本では"Diploma"の発行に特に基準はなく、誰でも発行することができます。
オーストラリアでは、Certificate III, IV, Diploma, Advanced Diploma の修了証を出すには、政府がそのカリキュラムに一定の条件を課し、Diploma以上のカリキュラムを組み、発行できる人間自体も一定の教育を受ける必要があります。つまり、政府認定で、誰でもが発行することは出来ません。
"Diploma"の質は国レベルで管理されているのです。
例えば、アロマセラピーを含む代替医療のDiplomaは、本来のアロマセラピーの学び以外に、解剖生理学、病理学、栄養学、コミュニケーション(カウンセリング)、ビジネス マネジメント(帳簿や税金、マーケティング)、ファーストエイド(救命救急)、100〜150時間のスチューデント クリニック(スーパーバイズを受けながらのクリニック実習)と、などが必須となります。
つまり、アロマセラピーの学びだけではなく、政府が決めた周辺の知識も必要となります。
キネシオロジーの場合は、1種類のキネシオロジーではダメで、初級、中級、上級の各カテゴリーから最低でも計500時間キネシオロジーを学び、100時間以上のスチューデントクリニック、プラスアロマと同じようなパッケージが必要となります。
レイキのCertificate IVは、レイキ レベル2までプラス、病院におけるコミュニケーションや衛生管理などについて、約1年の学びが必要となります。
目安として、Diplomaは2年、100〜200万ほどかかることになります。
ついでに言うと、Diplomaをとったあとは、協会に所属、毎年一定ポイントの継続教育を受けていることを証明して更新。自宅サロンでも自賠責の保険に入った上で開業するよう、保健省は呼びかけています。
この協会費と保険に年5〜6万は支払うことになりますから、ある程度真剣にやる人でなければ、割に合わないでしょう。
現時点で私が持っているのは、随分前に取得したDiploma of Aromatherapyのみです。
Diploma of Aromatherapyを取った頃はまだ医学用語の英和辞典がほとんどなく、解剖生理学は辞書を引いても出てきた日本語の意味がわからず、日本語の医学用語を日本語で解説している南山堂の医学辞典に大変お世話になりました。
5cm以上の厚さの解剖生理学の英語本をいきなり読めるわけもなく、まずは日本語で、できるだけ英語も併記されている解剖生理学の本を買ってきて、2回読んでから、英語のマニュアルを読みました。内容がわかっていれば、英語でも理解できると思ったので。
学期ごとに、指定された語数での論文提出は1番の難関で、英語がネイティブではない生徒に厳しいと有名なチャイニーズの先生に当たったときは、1学期で落ちたらDiplomaを諦めようと本気で思っていました。
1学期目は、ひたすらラテン語の骨、筋肉の名前と位置、絵を見たらどこの骨かわかるよう、練習。もう、ほとんど忘れましたけれど。
最後の方の論文では、扁桃体を一生懸命調べたのですが、これも見事に頭から抜け落ちています。
大変でしたが、これをしたおかげで、多分普通にはしなかったであろう学びと、学び方を経験しました。
カウンセリングのクラスでは、それまで日本で学んでいたことと反対の考え方で、先生が教えることの逆をやり、実習パートナーは先生に泣きついているのを見て「あぁ、本当にここでは違うのだ」と思ったのです。
どちらが良い・悪いではなく、こういうアプローチもあるのだなぁと学びました。
ビジネスマネジメントは、会社でも個人でもすでにやっていることばかりでさすがにつまらなく、1日受けてその夜アサインメント提出し、明日のクラスはいかないけれど、これで合格にしてねと、講師と学校に交渉しました。
解剖生理学の次に意義が大きかったのは、学校という管理された場で、先生の指導を受けながら実践できるスチューデント クリニックで、とても勉強になりました。
技術そのものより、クリニック全体のマネジメントが参考になりました。
クライアントが問題を起こした時、クライアントへも、関わったセラピストへも、マネジメントの対応は素早かった。
問題行動が発覚したその場でレセプションはクライアントに電話し、「あなたの予約は二度と受けない」と言い放ち、担当セラピスト(のたまご)には、当分似たようなクライアントの施術を拒否できるが、どうするか?カウンセリングが必要か?と、たずねたのです。
これらの学び全てが、現在提供している全てのクラスとセッションの血となり肉となっています。Diplomaコースは基礎となっていると言っても良いかもしれません。
キネシオロジーに関していうなら、私は5種類、1500時間以上のキネシオロジーを受講していますが、Diplomaは取得していません。(理由はまたいずれ) ただ、協会には所属しているので"registered Kinesiologist"ということになります。Diplomaがあれば"professional"となります。
正直、西洋におけるDiploma制度は、別名"集金・資格マフィア"とも言われ、確かに問題点も多いと感じています。
一方で、実践のために必要な最低限の力と知識を与えてくれることも、確かです。
何であれ海外のDiplomaを1つでも持っている人は、これだけの学びと継続的なアデプデートを行なっており、面倒くさいこともあるけれど、様々な面で助けられてもいるのです。